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ブログについて
映画やTVドラマなどを観ていて、その中で流れてくる音楽、撮影に使われた建築やセットのデザイン、舞台の背景となるインテリア、登場人物が手にしているガジェットやプロダクトなどが気になったことはありませんか?
このブログでは、映画やTVドラマの中に登場するさまざまなものを調べて紹介していきます。そうしたものにも目を向けてみると、映画やTVドラマが今まで以上に楽しくなるはずです。映画、TVドラマ、音楽、建築、インテリアのどれかに興味がある方に、また自分と同じようにそのどれもが寝ても覚めても好きでたまらないという方に、面白いと思ってくれるような記事を発見してもらえたらという思いで書いています。
執筆者:伊泉龍一(いずみりゅういち)
ブログ以外には、以下のような書籍の翻訳をしたり、本を書いたりもしています。
ショーン・レヴィ著 伊泉龍一訳
『レディ・ステディ・ゴー! 60sスウィンギン・ロンドン』
伊泉龍一 (著)
『スピリチュアリズムの時代 1847-1903』
ポール・ガンビーノ (著), 伊泉 龍一 (監修, 翻訳)
『死を祀るコレクション:モダン・ゴシックという生き方、その住まい』
ドン・ラティン著 伊泉 龍一訳
『至福を追い求めて ―60年代のスピリチュアルな理想が 現代の私たちの生き方をいかに形作っているか』
ロバート・C・コトレル 著 伊泉 龍一 訳
『60sカウンターカルチャー ~セックス・ドラッグ・ロックンロール』
ドン・ラティン 著
『ハーバード・サイケデリック・クラブ ―ティモシー・リアリー、ラム・ダス、ヒューストン・スミス、アンドルー・ワイルは、いかにして50年代に終止符を打ち、新たな時代を先導したのか?』
デヴィッド・ヘップワース 著
『アンコモン・ピープル ―「ロック・スター」の誕生から終焉まで』
サラ・バートレット 著
『アイコニック・タロット イタリア・ルネサンスの寓意画から現代のタロット・アートの世界まで』
映画『ウォッチメン』のコメディアンの部屋から学ぶ都会の一人暮らしのためのマスキュリンな理想のインテリア

今も昔もアメリカの映画やテレビ・シリーズを観ていると、都会のアパートメントでの一人暮らしの部屋として、参考にしたくなるようなインテリア・デザインと多々出会うことがあります。分かりやすい一例として、女性の方だったら、『セックス・アンド・ザ・シティ(Sex and the City)』の中でキャリーが住んでいた部屋とか憧れませんか?
とはいえ、今回は『セックス・アンド・ザ・シティ』のインテリアの話ではなく、あまり一般の女性受けしそうにない映画『ウォッチメン(Watchmen)』の中のコメディアン(Comedian)ことエドワード・ブレイク(Edward Blake)の部屋のインテリアの話を書こうと思っています。
コメディアンの部屋は、映画『ウォッチメン』の冒頭の激しい暴力シーンに登場します。昔『ウオッチメン』を観た時に、その場面のインテリア・デザインが気になってしかたがなかったので、今回改めてじっくり見直しながら細部を確認してみました。
映画『ウォッチメン』をご覧になったことがない方でも、あるいは『ウオッチメン』に興味がない方でも、インテリア好きであれば、なかなか見どころのある部屋だと思いますので、まずはその場面を以下の動画でご覧ください。
暴力シーンの背後に、アメリカのシンガーでジャズ・ピアニストのナット・キング・コール(Nat King Cole)が歌う1951年のシングル曲「アンフォゲッタブル(Unforgettable)」が流れています。
「忘れられない/それは君のことだ(Unforgettable/That’s What you are)」と歌う甘く優しい声に包まれながら、ザック・スナイダー監督の得意とするスローモーションを取り入れた激しい暴力のカットを見せられた後、コメディアンが窓を割って放り出されます。この対照的な音楽と映像によって作り出される完全な不調和が印象的なシーンを作り出していますね。
ナット・キング・コールの過去の郷愁をかきたてる歌とともに、コメディアンがビルから投げ出されるスローモーションの映像、そしてそれを追うようにガラスの破片と血のついたスマイリーのバッジが地上に向かって落ちていくのを見ていると、あたかも古き良き時代が彼の死と共に完全に葬り去られていくかのようにも感じられます。
そして、地面に落ちた黄色いスマイリーの方へと濃厚な血液が広がっていき、続いてスマイリーにクローズ・アップしたかと思うと、過去の時代の懐かしさをかきたてるのにお決まりのセピア色の映像で映画のオープニングのクレジットが始まります。そして、そのバックには、時代の移り変わりで物事が変化していくことを歌ったボブ・ディランの1964年の曲「ザ・タイムズ・ゼイ・アー・チェンジン(The Times They Are A-Changin’)」が流れてきます。この時点で、普通のスーパーヒーロー映画とはまったく違った趣が感じられます。
それはそうと、コメディアンの部屋のインテリア・デザインはいかがでしたか? インテリアの好みは人それぞれとはいえ、都会のアパートメントでの男性の一人暮らしとして見ると、これなんかは一つの理想形のように思えませんか?
映画の設定において、この場面は1985年ということになっています。ですが、インテリアの全体の雰囲気は80年代というよりも、むしろ70年代的な感じがしないでもありません。
まずコメディアンの部屋の全体の壁に目を向けてみましょう。すぐに気が付くのは、現代(2023年)の日本の都会のアパートメントでは一般的になっている白い壁紙の貼られている場所はまったくないということです。例えば、以下の画像をご覧ください。

思いっきり殴られているコメディアンの背後の壁に注目してください。おそらく壁紙だと思われますが、抽象的な柄が入っていますね。
ここ数十年、日本の住宅には「無印良品」的な美学があまりにも浸透してしまっているせいか、こういう感じの壁紙はあまり見かけなくなったようにも思われます(「無印良品」的なミニマリズムの美しさをけなしているわけではありませんよ)。
しかも、以下の画像をご覧ください。一面だけのアクセントしではなく、部分的にタイルが張られている箇所以外は、部屋全体が同じ柄の壁紙になっています。

大きな窓がある側もそうです。以下をご覧ください。同じ壁紙が張られています。

ところで、コメディアンの部屋の壁とは違うデザインですが、自宅の白い壁紙に飽きた方、代わりに以下のような柄の壁紙なんかはいかがでしょうか?

画像は、インテリア好きの人にはお馴染みの輸入壁紙を多数扱っているWalpaの商品ページから引用させていただきましたが、これはベルギーのフックド・オン・ウォールズ(HOOKED ON WALLS)というブランドのTINTED TILES / 29043(UTOPIA6)という商品です。
これからアパートメント(マンション)の部屋をリモデルしようと考えている方、こんな感じの幾何学的なデザインの壁紙はいかがですか? 写真では木製のテーブルが置かれていますが、天板が鏡面加工のダーク・ブルーないしはブラックのテーブルと合わせると、よりクールでマスキュリンな雰囲気になりそうです。
ちなみに、過去に私自身も東京の恵比寿にあるWALPA STORE TOKYOで壁紙を数種類購入したことがありますが、店員の方がとても親切で、いろいろ丁寧に教えくださりました。関東にお住まいの方で、これから部屋をリモデルする際、個性的な輸入壁紙を部屋に使いたいという方は、ぜひ実際に一度足を運んでみてください(大阪の大正にもありますので、関西の方はぜひそちらに)。
壁紙ではなくタイルですが、こちらはいかがでしょうか? こちらの方が、コメディアンの部屋の壁紙に少し近づく感じでしょうか。

こちらは名古屋モザイク工業株式会社の扱っているイタリア製のタイルです。写真は『Nagoya Mosaic-tile2020-2021のカタログ』の360頁から引用しました(2023年現在の新しいカタログに掲載されているかどうかは確認していません)。
同カタログの商品説明には「大理石とメノウをモチーフに独特なグラフィックに置き換えた、コンテンポラリーでエレガントな秀作」と書かれています。この写真では、天井から光を壁に当てる形での間接照明がタイルに温かい色合いを与えていますね。
個人的な話をすると、私は以前にこのタイルを一目見て気に入ってから、カタログに付箋を貼ってチェックしたままにしていました。写真はバスルームですが、私としてはリビングルームかベッドルームに使いたなと思っていました(結局、使っていませんが)。
続いてコメディアンが拳で殴って、その一部をぶち壊したテレビが埋め込んである壁をご覧ください。

ここは壁紙ではなく、形の違うタイルを組み合わせて張っていますね。さらに床もご覧ください。

床もタイルです。ここも形の異なるタイルを組み合わせて張っています。
この部屋のように、全体的に暗いトーンの部屋の場合、床を暗い色のタイルで均等に張ってしまうと、ちょっと退屈な印象になってしまう恐れもあると思われます。ここでは、異なる形のタイルの組み合わせによって生まれるデザイン性が、いいアクセントになっているのではないでしょうか。
コメディアンの部屋のインテリアについては、まだ他にも気になるところがありますので、次回に続きます。
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