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ブログについて
映画やTVドラマなどを観ていて、その中で流れてくる音楽、撮影に使われた建築やセットのデザイン、舞台の背景となるインテリア、登場人物が手にしているガジェットやプロダクトなどが気になったことはありませんか?
このブログでは、映画やTVドラマの中に登場するさまざまなものを調べて紹介していきます。そうしたものにも目を向けてみると、映画やTVドラマが今まで以上に楽しくなるはずです。映画、TVドラマ、音楽、建築、インテリアのどれかに興味がある方に、また自分と同じようにそのどれもが寝ても覚めても好きでたまらないという方に、面白いと思ってくれるような記事を発見してもらえたらという思いで書いています。
執筆者:伊泉龍一(いずみりゅういち)
ブログ以外には、以下のような書籍の翻訳をしたり、本を書いたりもしています。
ドン・ラティン著 伊泉 龍一訳
『至福を追い求めて ―60年代のスピリチュアルな理想が 現代の私たちの生き方をいかに形作っているか』
ロバート・C・コトレル 著 伊泉 龍一 訳
『60sカウンターカルチャー ~セックス・ドラッグ・ロックンロール』
ドン・ラティン 著
『ハーバード・サイケデリック・クラブ ―ティモシー・リアリー、ラム・ダス、ヒューストン・スミス、アンドルー・ワイルは、いかにして50年代に終止符を打ち、新たな時代を先導したのか?』
デヴィッド・ヘップワース 著
『アンコモン・ピープル ―「ロック・スター」の誕生から終焉まで』
サラ・バートレット 著
『アイコニック・タロット イタリア・ルネサンスの寓意画から現代のタロット・アートの世界まで』
ミュージック・ビデオの中のジョン・ロートナー設計のシーツ=ゴールトステイン・レジデンス(2)――スヌープ・ドッグの「レッツ・ゲット・ブロウン」。グッチの「プルミエール」のコマーシャル映像とM83の「ミッドナイト・シティ」。
建築 音楽 ミュージック・ビデオ コマーシャル映像 / 2022.12.24
前回は、アメリカの建築家ジョン・ロートナー設計のシーツ=ゴールドステイン・レジデンスが、アメリカのシンガー・ソングライターのトレイシー・スペンサー(Tracie Spencer)の1999年の曲「イッツ・オール・アバウト・ユー(ノット・アバウト・ミー)(It’s All About You (Not About Me))」のミュージック・ビデオの中に、使われていることについて書きました。今回は、同じくシーツ=ゴールドステイン・レジデンスが登場するもう一つ別のミュージック・ビデオを見てみたいと思います。
では早速、以下をご覧ください。ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)をフィーチャリングしたスヌープ・ドッグ(Snoop Dogg)の「レッツ・ゲット・ブロウン(Let’s Get Blown)」のミュージック・ビデオです。
前回に観たミュージック・ビデオでは、自己中心的な男に対して愛しているがゆえに、いらつく女性の心情を表現するのにトレイシー・スペンサーが、シーツ・ゴールドステイン・レジデンスの中で、一人で腰をくねらせ踊っていました。
今回のスヌープ・ドッグの「レッツ・ゲット・ブロウン」のミュージック・ビデオでは、同じ場所が使われているとはいえ、ファレル・ウィリアムスが「ほら、もっとちょっといけてる女の子になりたいだろ。だからおいでよ(You know you want some more girl, so come on)」と画面を見つめながら誘い文句を歌い、その他大勢の若者たちがゆったりとしたグルーヴへ身を委ねて踊る楽しそうなパーティー会場となっています。
それにしても、このミュージック・ビデオの頃のファレル・ウィリアムス、いわゆるオバサン的な目線(失礼な言い方だったらすいません)からのよくある言い方を使うなら、若くてかわいいですね。初々しさすらも感じます。
もう一度改めて、別の角度からの現実のシーツ・ゴールドステイン・レジデンスのリビング・ルームをご覧ください。前回と前々回で何度も言ってますが、やはり天井の形状が圧倒的に目を引きますね。オーナーのジェームス・ゴールデン氏のウェブサイトから引用しました。
さらに以下の写真をご覧ください。こちらはリビング・ルームから外へ向かっての写真ですが、ミュージック・ビデオの中の大勢の人たちが屋外で楽しそうに踊っていた場所は、この窓の外のプールの周辺ですね。Downtown Davaの中の gregory davalos氏の記事‘SHEATS/GOLDSTEIN RESIDENCE’から引用しました。
また、ミュージック・ビデオの最初の方で、以下の写真のベッド・ルームのガラス窓が開いていくのが、とりわけ印象的な場面になっていましたね。写真は、Downtown Davaの中の gregory davalos氏の記事‘SHEATS/GOLDSTEIN RESIDENCE’から引用しました。
もう一つ言うと、ミュージック・ビデオの最初の方で、天井の窓が開いていく場面もありました。以下のキッチンの天窓です。写真はYELLOWTRACERの中の記事‘SHEATS GOLDSTEIN HOUSE BY JOHN LAUTNER’から引用しました。
キッチン全体の面材の木目がきれいではあるけれども、広いリビング・ルームを見てしまった後だと、意外にもコンパクトで普通ですね。
今回、スヌープ・ドッグの「レッツ・ゲット・ブロウン」のミュージック・ビデオを改めてじっくり観ていて気付きましたが、前々回に紹介したシーツ・ゴールドステイン・レジデンスのミステリアスなオーナー、ジェームス・ゴールドステインの姿が、4分9秒のあたりに一瞬だけ映っています。このミュージック・ビデオの中でも、やはり自身のファッションのシグネチャーとも言うべきハットを被っています。
さらに今回調べて分かったのですが、シーツ・ゴールドステイン・レジデンスは、ラップないしはR&B系のミュージック・ビデオの撮影にも好んで使われているようです。前回のトレイシー・スペンサーの「イッツ・オール・アバウト・ユー(ノット・アバウト・ミー)」と今回のスヌープ・ドッグの「レッツ・ゲット・ブロウン」以外にも、以下のミュージック・ビデオがシーツ・ゴールドステイン・レジデンスで撮影されていました。
ネリー(Nelly)をフィーチャリングした ジェレマイ(Jeremih)の2013年の「ザ・フィックス(The Fix) 」。
ベイビーフェイス(Babyface)の2015年の「ウィーヴ・ガット・ラブ(We’ve Got Love)」。
ジー・イージー(G-Eazy)をフィーチャリングしたスターラー(Starrah)の2016年の「オーダー・モア(Order More) 」(こちらでは、オーナーのジェームス・ゴールドステインも出演していて、2回映ります)。
ドージャ・キャット(Doja Cat)の2020年の「セイ・ソー(Say So)」。
ちなみにですが、先ほどのスヌープ・ドッグの「レッツ・ゲット・ブロウン」のミュージック・ビデオの監督は、調べてみたらポール・ハンター(Paul Hunter)でした。大ヒット曲のミュージック・ビデオを多数手がけている有名な監督ですが、映画と関連しているもので言えば、2001年の映画『ムーラン・ルージュ!(Moulin Rouge!)』のサウンドトラックとなった「レディ・マーマレード(Lady Marmalade)」のミュージック・ビデオもそうです。
リル・キム(Lil’ Kim)、ピンク(Pink)、マイア(Mya)とともにクリスティーナ・アギレラ(Christina Aguilera)がランジェリー姿で踊って熱唱する、このなんともけばけばしい美しさが全編に輝き渡る「レディ・マーマレード」のミュージック・ビデオ。日本でも間違いなく女性ファンがかなり多いんじゃないでしょうか? どうぞ以下でご覧ください。
このゴージャスなキャバレー風の舞台で撮影された「レディ・マーマレード」のミュージック・ビデオは、MTVビデオ・ミュージック・アワードの「年間最優秀ビデオ賞」と「映画からの最優秀ビデオ賞」を受賞しています。一目見ただけで、衣装やセットに時間もお金もたっぷりとかけているだろうことは明らかです。ここに出てくるプロダクトなんかも、いろいろ分析したいところではありますが、ここではやめておきます。
それにしても、このアギレラたちが歌う「レディ・マーマレード」、当時、本当に大ヒットしていました。確認してみると、ビルボード・ホット100では1週間1位だったんですね。でも、この種の音楽が好きな人なら、良く知っていると思いますが、これはアギレラのオリジナル曲ではなくカヴァーです。
もし70年代のディスコが好きな方だったら、アメリカの女性グループ、ラベル(Labelle)の1974年の同曲のヴァージョンの方に馴染みがあることと思います。こちらもビルボード・ホット100で1位になっています。当時のラベルが映っている動画がありました。以下をご覧ください。
これはラベルが、オランダのAVROの音楽番組「トップポップ(TopPop)」に出演して、「レディ・マーマレード」を口パクしている映像です。
現在から見て間違いなく目を引くのは、何と言っても彼女たちのシルバーのきらめく衣装です。まるで昔のSF映画というか、もっと言うならば最初(1964年から1966年)のTVドラマ『スター・トレック』の異星人役としても、そのまま出てもおかしくなさそうじゃないです。この派手で風変わりな衣装のデザイナーについても、実は書きたいことがあるのですが機会を改めます。
さて、話題をシーツ=ゴールドステイン・レジデンスに戻します。前々回に書いたように、オーナーのジェームス・ゴールドステインは、常日頃からジョン・ガリアーノなどの派手で高価な服を身に着けているファッショニストとしても有名な人です。
そんな彼の住まいにとって、まさにふさわしいと言えば、これです。2012年のグッチのフレグランス、「プルミエール(Première)」のための映像です。シーツ=ゴールドステイン・レジデンスが、その撮影の場所として使われているのです。以下の動画をご覧ください。
冒頭の場面で映っているのは、シーツ・ゴールステイン・レジデンスを外から映した映像です。
近いアングルからの現実のシーツ・ゴールドステイン・レジデンスの写真も掲載しておきます。CURBED LOS ANGELSの中のAdrian Glick Kudler氏の記事‘Life-sized John Lautner sculpture hangs out at his Sheats-Goldstein House in Beverly Crest’から引用しました。
この家にかぎったことではありませんが、ビバリーヒルズを上がった場所に建てられた住宅からの夜の眺めは圧巻ですね。何度目にしても、その瞬間、ふいに胸を打たれるような感覚すら覚えます。
前回のネミロフ社のウォッカのコマーシャルに対してはプレミアム感が出ていないなどと偉そうなことを述べてしまいました。一方、こちらのグッチのコマーシャルに関して言えば、この種のブランドのコマーシャルなので当然のことながら気取った映像になっているので、突っ込みどころを探してやろうかと意地悪な気持ちについなってしまいますが、悔しいかな文句をつけるべきところが見当たりません。
それこそ下から上へと鼻孔を突き抜けていくかのような電子音の反復する波が、同時に聴いている側の心臓の鼓動を動かしていくかのようにも感じられます。そして、パノラマ的に広がるロサンゼルスの街の無数の光を前にした女性のゴールドのガウンの輝き。それらによって、グッチのグラマラスかつエレガントなフレグランスに対して、プレミアム感を間違いなく増しまくっていると言わざるをえません。
ELLEの中の APRIL LONG氏の記事‘Exclusive: Blake Lively on Gucci’s Première Fragrance (Plus a Behind-the-Scenes Video)’によると、このフレグランスは「オールド・ハリウッドの神秘とエレガンス」をコンセプト化したものだそうですが、実際の映像は「エレガンス」さに加えて、近未来的な印象すら感じさせてくていますね。
ちなみに、この隙がなく完成度の高いコマーシャルの監督は誰かと言うと、2011年のアメリカ映画『ドライブ(Drive)』で、カンヌ国際映画祭の監督賞 も受賞しているニコラス・ウィンディング・レフン(Nicolas Winding Refn)です。
また、流れている音楽の方は、フランスのエレクトロニック・ミュージックのグループ、M83の2011年のアルバム『ハリー・アップ・ウィーアー・ドリーミング(Hurry Up, We’re Dreaming)』からのファースト・シングル「Midnight City(ミッドナイト・シティ)」をスウェーデンのDJでミュージック・プロデューサーのエリック・プライズ(Eric Prydz)がリミックスしたヴァージョン「エリック・プライズ・プライベート・リミックス(Eric Prydz Private Remix)」です。で、この曲こそが、先ほども述べたように、単なるエレガンスさに留まらせず、近未来的な映像にしているわけです。
M83は2009年のフジロックで来日し、その後2016年にも単独来日公演をしているので、日本でも好きな方は多いのではないでしょうか。
ちなみに、「ミッドナイト・シティ」の原曲の方は、グッチのコマーシャルのヴァージョンとは異なり、歌が入っています。お聴きになったことがない方は、よろしければ以下のミュージック・ビデオでどうぞ。80年代のドリーム・ポップ的な雰囲気のソフトな歌声も入ってくるので、リミックスとは印象が随分異なりますよ。
ついでに言うと、M83の「ミッドナイト・シティ」は、グッチの香水だけでなく、他の映像作品でも使われています。一例をあげると、アメリカのファッション・ブランドのヴィクトリアズ・シークレットの以下のフレグランスのコマーシャルでも流れています。
かつてのヴィクトリアズ・シークレットのおなじみの翼を付けたランジェリー姿の「エンジェル」たちが大胆にポーズを決めていますね。
M83と言えば、個人的にはジョセフ・コジンスキー(Joseph Kosinski)監督の2013年の映画『オブリビオン(Oblivion)』の話を無性に書きたくなります。というのも、M83が同映画のサウンドトラックを担当しているということもありますが、それ以上にその舞台となっている空中に浮かぶ住居のデザインがなかなか興味深いのです。
しかも、『オブリビオン』のそのセット自体も今回の話との関連性がまったくないわけではありません。少し説明します。
監督のジョセフ・コジンスキーは、『オブリビオン』のセットのデザインを着想する際に、建築写真家のジュリアス・シュルマン(Julius Shulman)の写真を参考にするように制作チームへ提案しています。シュルマンと言えば、建築好きの人にはカリフォルニアのミッドセンチュリー・モダンの建築の写真でとりわけ知られているのではないかと思います。で、そうした写真の中に、今回の主題のシーツ=ゴールドステイン・レジデンスの写真も多数含まれているのです。ということから、『オブリビオン』のセットの一部には、シーツ=ゴールドスティン・レジデンスを彷彿させるところもなきにしもあらずなのです。
この辺りの話を交えてジョセフ・コジンスキー監督の映画『オブリビオン』のセット・デザインについては、近々少し書いてみたいと思っています。というか、次回書こうと思っている話の内容の流れの中で、まずはコジンスキーの別の映画について言及することになりますが。
今回はそろそろ終わりにしますが、最後に先ほどのグッチのコマーシャルの話に戻りますね。
映画やドラマ好きの方、映っていた女性が誰だか気づいていましたか? そう、女優のブレイク・ライヴリー(Blake Lively)です。2007年から2012年まで放映されていたアメリカのTVドラマ『ゴシップ・ガール(Gossip Girl)』のセリーナ・ヴァンダーウッドセン役でも有名ですね。ここでは大きなガラスの窓の前でポーズをとり、背中の空いた美しいガウンで、その高身長でスレンダーな体型を見せつけてくれていますね。
こういう大きなガラスの窓からのきらきら輝く夜景の映像を観ていると、都会から少し離れた丘の上に建っていて、遠くからその光を眺められるような家っていいなと素直に憧れてしまいます。ちなみに、自分の普段住んでいる家も丘の上にあるので見晴らしは良好なのですが、なにせかなりの田舎なので、ポツポツと所々光っている場所があるぐらいのまったく寂しい夜景です。まあ、それはそれで良いんですけどね。
次回もう一回だけ、シーツ=ゴールドステイン・レジデンスと関連する話を書きたいと思っています。予告をしておくと、フランスのエレクトニック・ミュージックのデュオ、ダフト・パンクも登場する予定です。
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