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ブログについて
映画やTVドラマなどを観ていて、その中で流れてくる音楽、撮影に使われた建築やセットのデザイン、舞台の背景となるインテリア、登場人物が手にしているガジェットやプロダクトなどが気になったことはありませんか?
このブログでは、映画やTVドラマの中に登場するさまざまなものを調べて紹介していきます。そうしたものにも目を向けてみると、映画やTVドラマが今まで以上に楽しくなるはずです。映画、TVドラマ、音楽、建築、インテリアのどれかに興味がある方に、また自分と同じようにそのどれもが寝ても覚めても好きでたまらないという方に、面白いと思ってくれるような記事を発見してもらえたらという思いで書いています。
執筆者:伊泉龍一(いずみりゅういち)
ブログ以外には、以下のような書籍の翻訳をしたり、本を書いたりもしています。
ドン・ラティン著 伊泉 龍一訳
『至福を追い求めて ―60年代のスピリチュアルな理想が 現代の私たちの生き方をいかに形作っているか』
ロバート・C・コトレル 著 伊泉 龍一 訳
『60sカウンターカルチャー ~セックス・ドラッグ・ロックンロール』
ドン・ラティン 著
『ハーバード・サイケデリック・クラブ ―ティモシー・リアリー、ラム・ダス、ヒューストン・スミス、アンドルー・ワイルは、いかにして50年代に終止符を打ち、新たな時代を先導したのか?』
デヴィッド・ヘップワース 著
『アンコモン・ピープル ―「ロック・スター」の誕生から終焉まで』
サラ・バートレット 著
『アイコニック・タロット イタリア・ルネサンスの寓意画から現代のタロット・アートの世界まで』
『時空刑事1973 ライフ・オン・マーズ』から見た70年代のインテリア・デザイン:エステル・ビルソンによる70年代へのトリビュートとしてデザインされた部屋とガストーネ・リナルディのダイニング・テーブル&チェア
ここ数回、イギリスのテレビ・シリーズ『時空刑事1973 ライフ・オン・マーズ(Life on Mars)』の中の70年代を再現したリビング・ルームのインテリア・デザインをチェックしています。今回もその続きです。
まずは、同シリーズのプロダクション・デザインを務めたマット・ガント(Matt Gant)がウェブ・サイトに掲載してくださっているシーズン2の第4話のセットとなった部屋を、改めてご覧ください。
前回は手前に少しだけ見えるターキッシュ・ラグについて、あれこれ書きました。今回注目したいのは、ソファーの前に置かれている前々回に確認したコーヒー・テーブルの下に敷かれている円形のラグです。
ご覧の通り、ガラスのコーヒー・テーブルの下に敷かれた円形のラグが、リビング・ルームを明るくするとともに、その焦点を定める役割を果たしていますね。
このオレンジ色の中心部が印象的なラグは、おそらく以下の70年代のヴィンテージのラグと同じものだと思われます。画像はeBay AustraliaのPinterestから引用しました。
60年代から70年代の北欧のラグでは、この種の太陽の光を思わせる「サンバースト」のデザインがしばしば見られます。
自宅のリビング・ルームのソファー前にコーヒー・テーブルを置いているけど、なんか面白みが欠けている思われている方、この種の明るい色使いのヴィンテージ・ラグを思い切って敷いてみるのはいかがでしょうか?
ここで同じラグをダイニング・テーブルの下に敷いている以下の写真をご覧ください。画像は、Wow Hausの中の記事‘Estelle Bilson’s 1970s house in Manchester’から引用しました。
これぞまさしく70年代風という部屋に仕上がっています。この見ているだけで楽しい気持ちになる素晴らしい部屋は、イギリスのインテリア・デザイナーのエステル・ビルソン(Estelle Bilson)のマンチェスターにある現代の家です。
エステル・ビルソンは、イギリスのBBC oneで放映されている長寿番組『ザ・ビッディング・ルーム(The Bidding Room)』(日本で言えば『開運!なんでも鑑定団』のような番組。日本では放映されていません)にも2020 年から出演しているので、本国ではよく知られた方です。
ビルソンの家を紹介しているWow Hausの中の記事‘Estelle Bilson’s 1970s house in Manchester’は、彼女のデザインした部屋を次のように評しています。
「これは色彩を称賛し、1970 年代のデザインを称賛する家だ。かつてはその過剰さのために笑われた10年だったが、年月が経つにつれて徐々に再評価され、復権させられてきた。……(私のように) 1970 年代に愛着がある人にとって、エステルの家は無条件に楽しませてくれる。これはその時代のタイム・カプセルではない。それはむしろその時代へのトリビュートなのだ」。
確かに70年代のインテリア好きの人にとっては、夢のような部屋であることは間違いありません。
ところで、『時空刑事1973 ライフ・オン・マーズ』で使われているのと同じラグの上に、彼女の部屋の方で置かれているレトロ・フューチャーで可愛らしく見えるダイニング・テーブルとチェアは気になりませんか?
ビルソンの部屋に置かれているのとほぼ同じ以下の70年代のイタリアのヴィンテージの商品をご覧ください。画像はPAMONOの商品ページから引用しました。
こちらのダイニング・テーブルはエステル・ビルソンのダイニング・テーブルと異なり、天板がスモークのガラスです。これはイタリアのデザイナーのガストーネ・リナルディ(Gastone Rinaldi)によってデザインされた70年代のダイニング・セットです。
ガストーネ・リナルディは、上のガラスとクロムを組み合わせたダイニング・テーブル&チェアと同種のダイニング・セットを70年代に複数製作しています。例えば、以下をご覧ください。画像はdesign addictの商品ページから引用しました。
前々回に『時空刑事1973 ライフ・オン・マーズ』で使われているコーヒー・テーブルについて言及しながら、70年代にはガラスとクロムのコーヒー・テーブルがいろいろ作られていたことについて書きました。同じくダイニング・テーブルも70年代にはガラスとクロムのものが多数作られていました。
ガストーネ・リナルディのクロムのチェアは、昔から好みだったので、私の自宅のガーデン・ルームにも一脚だけ置いてあります。以下がその写真です。
イタリアから最初に中古で買ったときから、シートはない状態でした。このまま座ると、当たり前ですが、非常に座り心地が悪いです。現在はひとまずアニマル柄のラグをかけて座っていますが、できれば以下のような革張りのシートにしたいところです。画像はCollection’Itの商品ページから引用しました。
こちらもガストーネ・リナルディがデザインした70年代のダインング・チェアです。リナルディのデザインしたダイニング・チェアの中で、仮にどれかを4脚セットで手に入れることができるとしたら、こちらの脚部の曲線が美しいチェアが個人的には最有力候補です。
もう一つだけエステル・ビルソンの家の部屋の中を見てください。画像はWow Hausの中の記事‘Estelle Bilson’s 1970s house in Manchester’から引用しました。
どうですか、このミニマリズムの真逆のマクシマリズムへと思いっきり突き抜けたきらびやかなバス・ルーム! 70年代後半のディスコを彷彿させるミラーのタイルが壁だけでなくバスタブにまで張られています。しかもです。向かって左上のところに注目ください。下の方が少しだけしか映っていませんがミラー・ボールが吊るされています。お湯に漬かりながら、ファンキーな気分になることは間違いありません。
彼女のデザインした他の部屋も紹介したいところですが、本題の『時空刑事1973 ライフ・オン・マーズ』とどんどん離れてしまうので、別の機会に改めます。
今回は『時空刑事1973 ライフ・オン・マーズ』で使われているサンバースト柄の円形のラグの話を発展させて、いろいろ書くつもりだったのですが、話が軌道修正できなくなったので、続きは次回にします。
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